子宮頸癌とHPV
子宮頸がんは、主に子宮頸部にヒトパピローマウイルス(HPV)が感染することによって発生する悪性腫瘍で、若年者に多いのが特徴で、25-34歳の女性の浸潤がんでは乳がんに次いで2番目に多いとされています。
子宮頸癌の初期には自覚症状がないことが多く、性交渉に伴う接触出血がみられる程度です。そのため、無症状のときから検診を受けることが重要です。
子宮頸癌の検査
<細胞診>
「がん検診」と呼ばれるやり方です。
子宮の入口からこすって細胞を採取し、細胞の形の異常などについて確認します。細胞診で得られた結果はすべて「疑い診断」であり、細胞診のみで診断が確定することはありません。
<組織診>
細胞診で異常があった場合は、疑わしい部分から小さな組織を切り取り、顕微鏡で診断します。子宮頸がんであることの確定診断に用いる検査です。
<コルポスコープ診>
コルポスコープという拡大鏡で、子宮頸部の粘膜表面を拡大し細かい部分を観察します。通常、コルポスコープで異常が疑われた部位を組織診の時に採取することにより、組織診の診断精度が上がると考えられています。
HPVと子宮頸癌
HPVとはヒトパピローマウイルス(Human Papilloma Virus)の略称です。 子宮頸癌はこのHPVが子宮頸部に感染することで発症することがわかっています。HPVには約200種類の型がありますが、そのうち高リスク型と呼ばれるタイプが子宮頸癌の原因となります。日本の子宮頸癌の原因の半分は16型・18型によるものです。
高リスク型HPV
16型, 18型, 31型, 33型, 35型, 39型, 45型, 51型, 52型, 56型, 58型, 59型, 68型
子宮頸癌を防ぐには
どんな病気にも100%の予防法はありませんが、子宮頸癌は原因ウイルスがわかっていることや、他の病気に比べて研究が進んでいるため、癌になる前の状態で発見することができます。
・性交渉前に予防接種
HPVは性交渉で感染するウイルスです。女の子には本人にもどうしようもない意思にそぐわない暴力的で不本意な事故もありえます。予防接種できる年齢になったら早めの段階で接種を受けておくことが大事です。
・子宮頸癌検査を定期的に受ける
予防接種の有無はさておき、子宮頸癌は他の癌と違って、癌になる前の前癌状態(子宮頸部異形成)の研究が進み、治療法が確立しています。少なくとも癌になる前、あるいは初期の段階で手術を受けることができれば、命の危険に晒されることにまではなりにくいです。(ただし妊娠中の子宮頸癌は初期でも赤ちゃんの発育などいろいろな制約があって、治療もままならず歯軋りするような状況が多々あるのが現実ですが…) 少なくとも健康なうちは、1-2年に一度、子宮頸癌検査や子宮卵巣の超音波検査をうけておく、そして結果は必ず確認することが望ましいです。
・HPV検査をうける
欧米では主流になりつつあります。特に16型、18型が陽性と判明した場合には癌化の確率が高いため、ある意味有用ではあります。
しかし高リスクHPV陽性だけれど、子宮頸癌検査が問題ないとの結果が続くときに、癌検診をガンガンやっていけばいいのか、そうではないのかの研究がまだ進んでいません。ワクチンを接種すれば体内のウイルス量は減りますが、必ずしも癌化を防ぐとも今のところ言いきれません。またすべての高リスクHPVをカバーするワクチンも存在しません。 悩ましいところですが、これからの研究成果に期待したいところです。
子宮頸癌検査の結果の見方とかなりざっくりした意味
検診センターからの結果に「要受診」と書かれていても、癌が相当強く疑われているとはつゆにも思わず、2-3ヶ月後に初めて受診して後悔される方がいらっしゃいます。もともと検診センター等で癌の確定診断を出すことはありません。結果が来た場合にはきちんとご確認ください。 癌検診結果のざっくりとした読み方です。
(異形成の説明は次の段)
べセスタ分類 | だいたいの意味 | 対処方法 | |||
NILM | 異常なし | 1-2年ごとの検診を | |||
ASC-US | 異形成とは断定できない 少なくとも炎症以上 |
HPV検査します 3か月以内に受診を |
|||
LSIL | HPV感染は間違いなし 異形成あり |
組織診が必要 早めに病院へ |
|||
ASC-H | 気にしすぎ? 断言できないけどヤバいかも |
予定をあけて 急いで病院へ |
|||
HSIL | かなりの異形成 なんなら癌もあり |
||||
SCC・AGC・AIS・Adenocartinoma | 癌なのは間違いない | 明日!! 病院にいきましょう |
|||
Other | 何かわからないけど悪性! |
※併記されていることの多い日母分類(class Ⅰ〜Ⅴのクラス分類)は現在使われておりません。
子宮頸部異形成とは
子宮頸部異形成は、子宮頸がんの前段階です。一般に前がん状態といわれます。癌になってしまった状態とはちがい、存在すること自体で身体に不利益があるわけではありませんが、癌になる可能性が十分に高い状態です。しっかりとした監視が必要で、監視のためには通院が必要となってきます。
癌になってしまった場合、命を守るためにできることは限られています。癌の治療は代償が大きいです。精神的な負担も大きいです。面倒くさくても、定期的な通院をお願いします。
子宮頸部異形成(cervical intraepithelial neoplasia : CIN)の分類
- 子宮頚部軽度異形成(CIN1)
CIN1の60%は1年~2年の間で自然消失して行きます。30%はそのままの状態が5〜6年続きます。10%は進行していきます。 - 子宮頚部中等度異形成(CIN2)
CIN2の40%は1年~2年の間で自然消失して行きます。40%はそのままの状態が5〜6年続きます。20%は進行していきます。 - 子宮頚部高度異形成+上皮内がん(CIN3)
CIN3の20%は1年~2年の間で自然消失して行きます。50%程度がそのままの状態が続きますが、30%は進行していきます。この状態が続く場合や、進行例は手術となります。
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